• 其の一
  • 其の弐
 丹波屋の帯は十数工程を経て完成し、それぞれの工程に熟練の技が集約されています。図案・企画段階から帯に想いを注ぐ丹波屋は、いわば総合プロデューサーとしての役割を果たしています。ただ、原料となる生糸の問屋、染屋など、数々の専門職とともに、互いへの尊敬の念がなければ、丹波屋の帯はここに存在しません。熟練の技が一箇所に集結する場所、それが丹波屋なのです。
 織物の世界に「一人前」という言葉は存在しません。教科書もなく、口伝もありません。背中を追いかけ目で盗めという世界です。無言のうちに丹波屋に伝わる帯の心を伝承し、強い感受性、貪欲なまでの探究心が織屋の感性を育てるのです。
 伝統という言葉をあえて使うのであれば、織屋一人ひとりの心の中に棲んでいる感性こそが伝統だと言えます。ただし伝統とは守るだけのものではありません。既存の概念にすがりつくだけでは、長年培ってきた匠の技を廃れさせるだけではないでしょうか。染色品だけでなく、古今東西の工芸品、絵画など、ありとあらゆる文化を受け入れ、完全オリジナルの品物を作り続ける丹波屋はそう考えます。
About the Obi 02
伝統とは守るだけの
ものではなく
新たな文化を創出する
ための道しるべ
 現在の織物業界が可及的速やかに考えなくてはいけないのは、売り方のノウハウではなく織工の育成です。さもなければ業界の低迷を招くだけでなく、織物そのものの存続に関わってくるでしょう。
 路地にふらりと歩み入ると、手機(てばた)の音色が聴こえてくる。そんな織物の街・西陣に生きる職人を育て、新たな文化を創出する。 それが【帯匠 丹波屋】に課せられた使命だと考えています。