• 其の一
  • 其の弐
 戦後の復興とともに日本経済は大きく成長しました。当時は織物などいわゆる“いとへん”の世界も右肩上がりの時代。効率を第一に考えた西陣の織屋たちが、機械式織機を導入していったのも時代の流れでしょう。
 その中で丹波屋が手織りによる帯づくりを選んだのは、手織り機(ておりばた)を目の前にしたときの刹那のひらめきと、人の手による細やかな作業のリズムが合致していたからです。先人がこれまで築いてきた歴史・伝統を尊重しながらもそれに押し流されることなく、移り変わる時代の中で感性を磨き続ける道を、私たちは選んだのです。

 手織り機が彩る音色はまさに子守唄です。そして機械織りには生み出すことができない“ならでは”の味、適度な湿度・糸の張りが生み出す“風合い”の息吹を感じることができます。最近ではアジア諸国で生地を織り、加工して日本に輸入されてくる帯も増えてきています。ただ、帯を織る工程を合理化しようとすると、職人の手が抜け落ち、織物本来の美しさが損なわれる可能性があります。

 一般的な帯の用途を考えたとき、衣類を止めるための道具にすぎないと言う人は少なからずいるでしょう。そこで、本物の帯とはなにか、身に着ける人にとってどのような存在になりうるか、丹波屋をきっかけにいま一度振り返っていただきたいのです。
About the Obi 01
手織りの繊細な
【風合い】が
身につける人に
感動を与える